鏡ダム 見学 その1

2014/9/20 更新

平成26年8月
先に生まれていた台風11号を追い越して北上してきた台風12号。

大変、嫌な雨の降らせ方をした台風でした。


8月3日、朝のTVのニュース画面です。
高知県で連続して大変な降雨が続いていました。


台風本体はというと西にずっと離れた場所にあり
じっと動かず殆ど停滞。
暴風域もなくなっていましたが
ここに居座られ続けたせいで遠く離れた高知で大変な雨が降り続いたのです。


8月3日3:00の降水量ヒストグラム。
降り始めから48時間で高知県では850mm超に達しました。
8月一か月分の平均雨量を上回っている地点がある事が何度も強調されていました。

◆ ◆

心配しながらも仕事に出なくてはならず
仕事中はTV見られないので僅かな昼休み時間にはノートPCで
ひたすらsnippig tool稼働。

ダムに興味のない人ならTVや新聞のニュースを見てそれで終わりかもしれません。
しかしダム愛好家はこういう時にTVだけを見ることはなく
国土交通省の「川の防災情報」とX RAIN(XバンドMPレーダー)
気象庁のナウキャスト
そして各自治体の防災情報などリアルタイムでとれる情報を
片っぱしからとりまくります。

そして見えてきたのは

「高知県の鏡ダムが信じられない頑張りで洪水調節を続けている!!」

というものでした。


川の防災情報・四国エリア
8月3日13:00のスクリーンショット。

流入量は524.76m3/s
放流量は499.14m3/s
貯水率は利水容量の459.6%
貯水位はEL75.64m
この状況でまだ絞っています。

◆ ◆

お仕事終えて帰宅しました。
すぐTVをつけてニュースチェック。


3日19:00のニュースではさらにとんでもない事に。
高知県で降り始めからの雨量がついに1000mm超となった地点が出てきました。


宮崎県や和歌山でも降雨量がどんどん増えています。

平均的な台風であれば
日本に近づいてきて、偏西風に乗っかって速度を上げてびゅーんと行き過ぎて
熱帯低気圧になって消えていくわけで
多くの場合、降雨や暴風の酷い時間は48時間、二日間くらいに収まる事が多いです。

それがこの台風12号はずっと離れた所に居座って本体降雨ではなく
外周に線状降水帯という物を形成してまるで前線性降雨のような雨の降らせ方をしていました。
そして台風らしく雨のボリュームが凄く多いという性質の悪い降り方をさせていたのです。


ニュースで流れた高知市内を流れる鏡川の様子です。
鏡川の上流には高知県の鏡ダムがあります。


鏡ダムの位置です。
浦戸湾から15kmくらい上流にあります。
とても市街地に近いダムです。

お仕事は洪水調節と水道用水と工業用水と発電。

まだ行ったことがありませんが
高知県の人にとても愛されているダムだという事はお聞きしています。

◆ ◆


8月4日やっと降雨が治まってきました。
高知県庁のHPで公開された台風12号・鏡ダム防災操作の速報です。

う・・。
こ、これだけなんですか。
あんなにすごい操作したであろう結果がこれだけって寂しい。
ハイドログラフもないよぅ。


しかし、8月5日の朝。
高知新聞で凄い記事が載りました。
web記事のアドレスは瞬く間にSNSで拡散しました。

洪水時に防災操作を頑張ったダムについて
ここまで褒め称えてくれる記事は数えるほどしか目にしたことがありません。
平成16年台風23号の時に頑張った大野ダムの記事のよう。
同じく平成16年の福井豪雨の時に本気を出した真名川ダムの記事のよう。

とにかく吃驚するほどドラマティックな書きっぷり。
読んでみてまず思ったのは
この記者の方、ダムマニアなんじゃないだろうか?という事。

そして嬉しく思うと同時に、ダムについて過度の信頼を抱かせかねない
非常に怖い書き方になっているなという点がいくつか目につき
これは大至急、高知に行って管理所の方にお話を伺わねばと決意したのでした。