宝山湖 見学

2024/6/1 更新

早明浦ダムに会うために四国にやってきました。
改造工事が始まっている早明浦ダムを見て
四国中央市に一泊し、翌朝向かったのが銅山川です。


下流に行きたかったのですが、林業関係者の車両が作業中でいけませんでした富郷ダム。
漸縮型導流壁を見下ろしてまた今度来た時には下から愛でるぞ~と誓うなど。


続いてやってきたのは柳瀬ダム。
注目していたのは減勢部の構造。
やっぱり構造令の前のダムって面白いです。


2024年で70周年を迎える柳瀬ダムです。


富郷ダムと柳瀬ダムでは貯水池に裸地が見えていましたが
更に下流の新宮ダムは満々でした。
幸せいっぱい水位です♪


ダムに到着して下流を覗き込んでいたら鋼製の角落しが並んでいました。
ゲート点検があるんでしょうか。


「紙の町を支える新宮ダム」

新宮ダムの水は導水トンネルで法皇山脈を越え
銅山川第三発電所で電気を生み出した後
工業用水と灌漑用水として四国中央市方面に送られているのです。

なので工業地帯と水田の写真が同じ大きさで紹介されているのですが…


割合を見て、顎が落ちそうになりました。


満々の幸せいっぱい水位の新宮ダムをみて
今年も頑張ってねと渇水にならないようお祈り。


と、いくつも寄り道してからたどりつきました宝山湖。
未訪だったので、今度四国に行ったら会いに行こうと決めていたのです。


とにかく緑が綺麗。
あちらにもこちらにも散策する人影。
大人気の宝山湖。


雲雀がずっと鳴いていて、ここに牛や羊がいても不思議のない光景です。
牧草地に見える。


天端レベルに移動しました。


宝山湖の説明板です。

香川用水調整池、とあるように宝山湖は池田ダムから
香川県に向かっての導水路の途中にある貯水池です。
香川の水の最後の砦。


ホントに最後の砦なので平時は常に満水で管理されます。


形を見てわかる通り自然地形を利用していますが
かっちりと成型されています。

堰堤はこのイラスト地図でいうと貯水池の下の部分です。


頭上で雲雀がホバリング。
ものすごく賑やか。
確かに雲雀の好みそうな場所です。


取水設備のある建屋に向かいます。


取水設備の前らしく、網場も設置されていました。
貯水池はとてもきれいでゴミもなくて大事にされている感が伝わってきます。


取水設備から堰堤方向を見たところです。


ダム銘碑発見しました。
平成21年竣工の新しいダムです。


宝山湖の水が届けられるルートを示したイラスト地図です。


土器川と綾川をサイフォンでパスしているのが面白いです。


堤体の断面図です。

パッと目を引く傾斜コアフィル。
堤体の遮水ゾーンを中央ではなく貯水池側で斜めに作ってあります。
そしてドレーンも内蔵していてなんとなく不思議設計。

ロックフィルダムではないので
均一フィルってわけでもないので
ドレーンがあるのはアースフィルならそういうのありだよねと納得できるのですが
なんでセンターコアフィルにしなかったのかという点だけが疑問符。

気になったので、帰宅してからお世話になっているダムエンジニアの方に質問したら
そもそも、アースフィルなのでダム建設地点で確保できる土質材料の量に左右されるということと
アースダムで傾斜コアとドレーン設置は構造令が出た後のアースダムではメジャーらしいです。

施工性が良いというのはロックフィルダムと同じで
「下流側の透水ゾーンを先行して盛立ができると同時に平行して止水グラウトを実施できる」
「下流側の透水ゾーンがしっかりしていればコアの損傷に対して抵抗性が強い」というメリットもあるそうです。

もちろんデメリットもあって
「上流側の透水ゾーンが薄くなるのでどうしても上流側勾配は緩くなる」という事でした。


至近距離で大きな鳴き声がするのでカメラを向けると雲雀がいました。

雲雀というと昔読んだ漫画で目の見えない雲雀が肩に人の魂を
乗せて運ぶというエピソードが思い出されてなりません。

雲雀は高い処でさえずりながらホバリングしますから
そういうイメージが出てきたのかもしれません。

気になるのでまた京都国際マンガミュージアムで探しに行ってきます。


洪水吐はおとなしく没個性の横越流式です。
いいんです。
とにかくお水しっかり貯めることだけ頑張ってくれたら宝山湖はそれでよいので。


洪水吐と堤体を見たところです。
お散歩する人とたくさんすれ違いました。


冠羽を立てている雲雀です。
熱心にさえずっていました。
お嫁さん探しているのかな。

魂は運びませんか。
肩に乗せて高い処まで運んだりしませんか。


香川県の水道の最後の砦、宝山湖。

うどん用水と呼ばれる香川用水ですが
うどん用水は全体の約8%です(香川県の中の人調べ♪)。

地域の人に大切にされ愛されている空気が漂っていた宝山湖でした。