第二回 水道ダム交流講演会
2026/1/11 更新

帝都は東村山市にやってきました。
本日はダム工学会による水道ダム交流講演会です。
1月の佐世保に続いて第二回開催。

会場は駅の横のビルでした。
午前中は、東京都水道局様の管理されている山口貯水池
村山上・村山下貯水池の三つのダムの現地見学会もありましたが
鹿の国を始発でできても間に合わなかったのでお留守番。

会の後半で司会進行をすることになっていたので
進行表を読みながら予習予習。
スタッフの皆様が準備準備。
会場にお越しになった工学会会長の角教授を見つけて
イベントと別の質問をして教えてもらったりわいわいしていると
現場見学会の方がお戻りになりました。
◆
定刻になり、始まりました。
第一部は
角教授による「今こそ問う、水道ダムの役割と価値向上」」
川崎秀明先生による」「中島博士の関わった水道ダムの歴史と現在」
を、お聞きしてお勉強。

最初は角教授から。

水道ダムは明治・大正期から建設されたものも多く
耐震補強も必要になってきます。
水道の世界では供給網の管理や水質確保が大変なので
頑丈なダムはついつい補修が後回しになっているところも多いのです。
でも、ダムもちゃんと保守管理して強くなってほしいので
本日は東京都と松江市の方から事例をご紹介いただくことになっています。

ダムを長く大切に使うためには貯水内の堆砂対策が必ず必要になってきます。
木津川にある水資源機構の6ダムは
一つのダムをバックアップに使う事で、他のダムの貯水位を下げて
貯水池内の堆砂を掘削除去する運用が可能です。

令和の時代になってダムの事前放流が当たり前のようにするべきという声が
一般の人からも出てくるようになりました。
中途半端な説明を報道機関が続けているので
事前放流が安全に行われるためにはそれなりの設備が必要だという
根本が置き去りになっています。
これについては繰り返し説明していくしかない。
常用洪水吐ゲートレスダムにもこういう要望が来る時代なので。

そして今はダムの高度操作を更に進めていくステージになってきました。
貯水位を高めに確保して放流するときは事前放流でも、後期放流でも
発電ルートで出すことで、エネルギーの面でもダムを最大限活用するという考え方です。
ダム管理者の壁を越えて多くのダムでこの運用が実現してほしいです。

続いて川崎先生からのお話です。

中島鋭治博士没後100年の今年は
中島博士とゆかりの深い東京でこのイベントをという話から
開催が決まりましたので、まず最初に中島博士のお仕事などの説明。

本日、現場見学会が開催された、山口・村山上・村山下ダムは
それぞれの堤体に、他のダムであまり見られない工夫がありました。
三つのダムはいずれも河道外に造られており
当時のダム建設で最も苦労した転流工が不要で合ったというのが
一番凄いなと思ったところです。
しかし地盤は軟弱だったため。三基のダムはそれぞれ
中央部のコアに当たる心壁に工夫が凝らされていました。
山口ダムではコアの下にカーテングラウト的な連続地中壁が埋設され
村山上ダムでは堅い材料の上に心壁を築いており
村山下ダムでは表層を掘り下げて荷重を分散させるコンクリート盤をおいて
その上に心壁を作っているのだそうです。

こちらは松江市水道局の千本ダムです。
現場でとにかく驚いたのが
堤体の薄さ。
日本刀のような鋭さでした。
これは中島博士が設計にかかわったほかのダムでも確認されていますが
越流部をいかに薄くして能力を高めるかという試みであったようです。
しかし、それゆえに堤体がスマートになりすぎて
平成の世になって耐震補強が必要になったのも事実です。
◆
第一部の後半から私が司会になりました。
事例紹介。

☆東京都水道局の酒井様から
「山口・村山上、下貯水池の耐震補強の経過について」
耐震補強のお話も興味深かったのですが
根本の話として、河道外貯留施設なので
洪水時には取水している大元を止めたら入ってこないので
洪水吐を実質的に使うことがないというのが一番驚いたところでした。
河道外貯留施設って
工事だけでなく、管理するうえでもそんな利点があったんだと
堆砂を心配しなくていいなんてなんてうらやましいんだと
夢中でお話を聞いていました。

☆島根県松江市上下水道局の福島様から
「松江市千本ダムにおける耐震補強工事」
こちらはとにかく美しいあの千本堰堤が
耐震補強でその美しさをもと失ったらどうするんだという心配がありましたが
見事に景観を保全して補強工事が完成しているのに大喜びです。
堤体がスレンダーな明治・大正期のメイソンリーフェイシングダムの補強工事では
腹付けという堤体をコンクリートで太らせる方法があちこちで採用されていますが
千本ダムでは堤体の外観に影響が少ないPSアンカー工法が採用されました。
海外ではアンカー工法による補強は割とあるみたいですが
日本では千本ダムだけという事でした。

☆ダム工事総括管理技術者(CMED)会の奈須野様から
「ダムの再開発」
現場でもぽそっと申し上げましたが
ダム工事総括管理技術者(CMED)の資格というのは
実はものすごく現場から熱望されていて
東日本大震災のような広域で大きな工事が必要とされる現場では
真っ先に声がかかる資格だったりします。
どういうことかというと、CMEDという資格は大きな工事現場の総指揮官として
大量の資材、建機の確保と運用
工事現場の全体を見て、工期を考え
どこにどう人を配置して何から作るかを
すべて頭の中で組み立てられる訓練をした人たちだからです。
こんなスーパーな資格を持っている人が重宝されないわけがない。
という事でダム現場より他の工事現場から引手あまたなのがCMEDの皆様です。
再開発工事の事例として鶴田ダムや笠堀ダムが紹介されました。
◆
事例紹介の後、パネルディスカッションになりました。
ここからがホントに難しくって苦手。
佐世保でもそうだったんですが
バランスよく回せないし時計ばっかり気になるし
高度な質問が来た時はどうしようこれ…ってなるし
もう大変。
パネリストの皆様、会場の専門家の皆様が高度な質問にも
てきぱきお答えくださったおかげでなんとか定時を少し超過したくらいで何とか収まりました。
たくさん勉強できて素晴らしい会でした。
ご準備に奔走してくださった
ダム工学会の皆様、先生方、ありがとうございました。

帝都をうろついてから大和川水系に帰りました。
翌日

朝の早くから“ 東京受胎 ”の起きた場所に行くなど聖地巡り。
この後、渋谷に行けば完璧だったのですが行ったのは丸の内でした。”