江畑溜池堰堤 見学 その3


堤体上流面は右岸から見られるポイントがあります。
とても綺麗な切り石が積まれているのがわかります。

天端高欄がのっぺりシンプルコンクリートなので余計に
石張部分の美しさが引き立つようです。

半円形の取水塔。
ここから取水した水が底樋を通って下流に供給されています。


堤体下流に降りる急勾配の階段を茨にをつけながら下ります。
綺麗なバケットカーブですね。


これが“底樋”です。
江畑溜池堰堤は古くても現役ですから中をのぞいてライトで照らすと
新しいバルブなどが見えました。
補修もちゃんとなされています。

底樋から出てきた水は堤体直下の減勢工の方に流れていました。
灌漑期には水路をふさぐ板を変えて灌漑用水路の方に水を流すことができる仕組です。


灌木と藪に邪魔されながら副ダムの横に移動。

減勢池の右岸にも灌漑用水路がありそれは底樋からダイレクトに
水を取るのではなく減勢池にたまった水を用水路に流すようです。

もしかしたら右岸と左岸では用水路を流れる水は温度が違うかもしれないなと思いました。
ダム湖の冷たい水をダイレクトに取る右岸の用水路と
この広い減勢池で陽光にぽかぽか暖められた後で流れていく水路では温度に差が出そうです。

まぁ、右岸と左岸では水路の幅が全然違いますので。
温度よりまずは量に差があるわけですが。


堤高14.4m。
ハイダムではありません。

もともとここにあった土堰堤が1890年に決壊しました。
下流からは再建することに反対の声が上がったそうです。
その後、国内で初めてコンクリートで作られたという江畑溜池堰堤。

それは土堰堤で起きた決壊事故を教訓としながらも
下流の田畑に水を安定供給したいという気持ちの結晶のようです。

決壊という悲劇を繰り返さないために選ばれた
玉石コンクリート造の重力式ダムは
質素で堅固で下流の人に安心してねと呼びかけているかのようでした。