日本ダムアワード2024 洪水調節賞 ダム大賞 トロフィーお届け

2025/2/21 更新


京都駅でいつもの0番線ホーム。
やってきたサンダーバードに乗り込みます。


敦賀で北陸新幹線に乗り換え。急げ急げ。


無事に金沢に到着しました。


この子が連れてきてくれました。
ありがとうね~♪


令和7年の2月上旬、今季最強寒波がやってきて大雪を降らせ
ピークを越えた直後の金沢入りです。
とにかく積雪を心配していました。


金沢駅といえば東口のこのモニュメント。
観光客もたくさん、行きかう人もたくさん。

令和6年能登地震で金沢は震度5強を観測しています。
一年以上経っていますので地震の痕跡は目に入りませんでした。
雪で埋もれて隠れている部分はわかりませんが。


石川県に来たら課金。
復興応援でお金使う。

という事で美味しいものを食べる。
普段ならしない贅沢する。


ニュースで地震と豪雨被害が甚大だった奥能登でも
色々お店が復活したり新しく作られたり情報が流れて来るようになりましたが
どこまで車で行ってよいのか、行けるのかが心配で
なかなか一歩踏み出せない方向けのお知らせがありました。


今いける能登はここ!

ほっと石川 旅ネット

こちらで最新の情報が入手できます。
道路情報も更新されるのでとても便利。


金沢に来たら是非というお店を伺っていましたが
大人気店で入れませんでしたので残念無念。
食いっぱぐれる前にお寿司屋さんにいきました。
美味しかったぁ♪♪


お腹が膨れましたので宿泊先に向かいます。
西口のモニュメントは一見何なのかわからない。


石川県の県のマークかと思ったけど違う。
説明書がきっとあると思いましたが雪に埋もれて見つけられず。


絶対に転んではならない。
鞄の中には緩衝材でぐるぐる巻きにしたトロフィー。
滑らないようにとにかく慎重に雪が溶けているところを進みます。


無事にホテルに到着しました。


鞄からトロフィーを取り出して確認。
大丈夫。壊れたりしていない。

という事でホッとしてすぐ就寝。


翌朝、駅前のホテルから石川県庁に向けて歩いています。
これだけ雪が道の端にどけられていたら安心だねと
歩いていくと、除雪してある所としていないところがあって
足元注意には変わりなし。

コインパーキングから出る車がご自身の車のトランクから
道具を取り出してサクサク雪をどけて対応しておられるので
対雪スキルの高さが素晴らしいなと感心してみていました。

鹿の国は縁の山は別として、ほとんど積もらないのでスキルがない。
そして雪を甘く見て事故る。


しかし、雪に慣れている地元の通勤の方が目の前で滑った。
なんでかなと思って進んだら自分も滑った。
交差点の四隅に現れる車道より少し高い歩道迄の傾斜部分。
ここがブラックアイスバーンになっているのです。
何か所もありました。

地元の人が滑るんだから危ないかもと慎重に進みながらの転倒だったので
鞄も守れたし自分も雪の上にふわんと尻もち着いただけでノーダメージ。
新潟で無防備にすっ転んでろっ骨を折った経験はちゃんと生きてます。


と、駅から3kmの石川県庁に90分くらいかけて到着しました。
道中、天保の大飢饉の碑とか寄り道してましたけど。


無事にたどり着けたので気持ちが楽になりました。
そんなに安全確実にたどりつきたければタクシーでもバスでも
乗ればいいじゃないかといわれそうですが
単に、歩きたかっただけです。
旅先では歩く速度でしか見つけられない景色を楽しみたいので。


お約束の時間より少し早かったので石川県庁の19階、展望ロビーに行きました。


立山連峰もばっちり見えました。
国土交通省 金沢河川国道事務所もばっちり。

ここまで防寒具装備でしたがトロフィーお届け前に
日本ダムアワード10周年記念Tシャツを装着しました。


指定されたお部屋にそろそろと近づくと
立派なバックパネルとモニターが準備されていて吃驚。

石川県土木部河川課の皆様、小屋ダムを管理されている珠洲土木事務所の皆様
たくさんの方がいらっしゃって二度吃驚。

ミッション完遂するために
急いでトロフィーと賞状とダムアワード当日の受賞ダム名の記された封筒とカードも並べました。

続いて地震の時のお話や豪雨の時のエピソードをお聞きしました。

ダムアワードでの発表プレゼンで紹介した
1月3日に地震後の点検でダムに向かった職員の方がお越しになっていたのです。

元旦の地震の後、職員の方もみんな正月休みで帰省していました。
あまりにも地殻変動がすさまじかったために道路がめちゃくちゃな状態の時に
一刻も早くダム点検を実施しなくてはと珠洲土木事務所に職員の方が小屋ダムに。
北河内ダムと八ケ川ダムの点検には奥能登土木総合事務所の方が向かいます。

八ケ川ダムは1月2日に点検が行われ
堤体は無傷でしたが周辺で土砂崩れが確認されました。
通信ができない状態でした。
これはダムのダメージというより奥能登全域の通信障害が発生していた影響と思われます。

商用電源、通信回線が寸断されているために
ダム諸量データが現地で確認は可能だがデータを送れない状態だったのです。
まず、非常用発電機を稼働してダム諸量データが途絶しないように対応されています。

その後、Starlinkを設置して管理所のモニターをカメラで映して
映像を送る方法で観測できるようにしました。

この方法は球磨川水害の時でもお聞きしました。
各地のダム管理者様の対応スキルとして周知されているみたいです。

北河内ダムはダメージが確認されました。
堤体内のポンプが故障したことと、ダム周囲の土砂崩れが確認されました。
仮設ポンプを設置して対応です。

さすが重力式コンクリートダム。
堤体に致命的なダメージはなし。

貯水池上流で発生したかなりの規模の土砂崩れは
ダムが受けとめたので下流への被害はありませんでしたが
ダムが無かったら土石流となって町野川下流域に流れ下ったことでしょう。
地震当日にさらに大きな被害が発生することをくいとめた北河内ダムです。
もっと褒めてよい♪

そして小屋ダムです。

珠洲土木事務所から小屋ダムまでは約11km
小屋ダムに向かわれた方は3日のam7:30に事務所を出てam11:30に到着したそうです。
その間に土砂崩れが四か所。
横の山が落ちて完全に道路が塞がれているところもありました。

小屋ダムまでのルートは3日の時点でどんな状況だったのか。

道路の啓開というのはとりあえず道を塞いでいるものを道の両側にどけて
車が通れる幅だけ確保しましたという状態です。

【令和6年能登半島地震】孤立地域への物資輸送(自衛隊/中部方面隊/災害派遣)

陸上自衛隊中部方面隊の皆様が現地に人力で物資を届けてくださった様子が記録されています。

崩れっぱなしの不安定な土砂崩れの岩の上を登り
膝まで泥に浸かりながら進む自衛隊の皆様の姿。
まさにこの徒歩で移動している姿が
職員の方がダムに向かっているときの様子とほぼ同じだそうです。

どんなに困難な道のりでもダムにたどり着かねばならない
ダムの安全性を確かめなくてはならない
ダム管理で震度4以上を確認した場合、点検は必ず行わなければならないので。

そして…土砂崩れの崖錐面を登攀しているときに余震が来たそうです。

怖い 怖い 怖すぎる。
よくご無事で…。

小屋ダムに地震による傷はたくさんありましたが
止水にかかわるコアは無事でした。
小屋ダムがきちんと造られていたからこれだけの地震でも大丈夫だったのです。

地震時に点検、現地確認しなくてはならないのはダムだけではありません。
珠洲土木事務所の場合は小屋ダム以外にも道路や河川、港湾、漁港なども
点検しなくてはなりませんでした。

ダムに向かった方はダムだけでなく、道中の孤立集落も訪問して
被害状況を確認してくれていたそうです。

本当なら安全な場所に避難しているべき時に
一番危ないところに行かなくてはならないために
災害時、被災する率で一番高いのがインフラ管理に携わる皆様です。
余震が続く中、本当にお疲れさまでした。

しかし
復興を進めている最中にやってきた豪雨。
線状降水帯はここ数年で石川県を何度も襲っていますが
今回は既往最大、そしてよりによって地震被害が最も深刻だった
奥能登にやってきたのです。


能登半島での地震・大雨を踏まえた水害・土砂災害対策検討会(第1回)

令和7年1月
国土交通省から能登半島の地震と豪雨被害についての対応報告が公開されました。
(PDF 102ページあります)


これは輪島市の降水量と気象庁からの発表を解かりやすく時系列で並べてくださったものです。
ホントにいきなりとんでもない雨がやってきたというのが良くわかる
赤い線は累加(累積)雨量です。


輪島市と珠洲市のハイエトグラフと累加(累積)雨量のグラフです。

同じ線状降水帯の下にあったのでほぼ同じハイエトグラフであると思っていましたが
10分毎のハイエトで見ると微妙に違いました。

珠洲市ではam08:40に20mm/10minの後、少し間をおいて
am09:30に再び20mm/10min級の雨が来ていて、グラフに谷があったのです。


今回の資料で公開された9月豪雨の際の小屋ダムのハイドログラフになります。
10分でなく1時間毎の数値になりますので上のハイエトグラフでは
10分毎のグラフでできた谷はなく、合算されています。

しかし、下のハイドログラフでは9時台と11時台に大きな山ができています。

なんでこんな形になるのかさっぱり解かりません。

ただ、計測器が壊れたときに人が目視で観測できる貯水位と違って
ダム貯水池への流入量はダムコンが計算して出すものです。
目視で代用できるようなものではありません。

豪雨の際、川の防災情報のデータは途絶しました。
これは管理所のダムコンが壊れたわけではなく、通信が途絶したことによるものでした。
管理所のダムコンは動いていました。

しかし、流入量があまりにもとんでもない数値を出すと
ダムコンは自動的に再計算を始めます。
したがってタイムラグも発生します。

川の防災情報のデータがフラット化したのがam10:00です。
丁度、グラフで謎の谷ができているあたりです。
なのでこれは暫定値として見なくてはなりません。
水文・水質データベースのグラフと同じです。

最も正しいのはやはり貯水位と河川水位。
水位が一番正直。

そして小屋ダムは最大流入量205.0m3/sを155.0m3/sカットして
50.0m3/sに抑え込み、貯水位は管理開始から最高のEL93.15mに達したそうです。

非常用洪水吐越流標高がEL96.0mですから洪水時最高水位まで3.0mを切っていた事になります。

ホントにダムが頑張ってくれてよかった。


ご用意いただいたバックパネルの前で
河川部の方と珠洲土木事務所の方にトロフィーと賞状を持って頂いて記念撮影。

皆様に喜んでもらえて嬉しかったです。


お届けミッション終了したので金沢駅前まで戻ってきました。
帰りはバスでらくちん移動。
そしてモンブランパフェで幸せになる。


お土産たくさん買いました。
新幹線のテーブルに乗りきらない分は鞄の中。

道路が通れるようになったら必ず会いに行きます。
小屋ダムと北河内ダム。

日本ダムアワード2024 洪水調節賞とダム大賞のトロフィーお届けのご報告でした。