令和6年7月梅雨前線
2024/9/11 更新
令和6年の梅雨前線末期の豪雨はそれまで渇水だった北日本に程よく雨を
供給してくれたら良かったのですが、秋田県南部と山形県で氾濫が発生する
災害を引き起こしました。
衛星画像を見ると、線状降水帯が発生する時に見られる
火山の噴煙のような雲の発生が見て取れました。
山形県といえば最上川。
盆地と狭窄部が繰り返される最上川。
上流のダムたちはすごく頑張りましたが、そもそも雨が下流から降っているし
氾濫を抑えきることは難しかったと思います。
最上川には治水目的で最近竣工したばかりの最上小国川流水型ダムがあります。
ダムの下流に温泉街があり、基準点になっています。
この赤倉地区に対して治水効果を発揮してくれました。
川の防災情報による赤倉地点の水位グラフになります。
急激な水位上昇がありましたがぎりぎり氾濫には至りませんでした。
ダムの効果がばっちり表れています。
最上小国川は最上川の一次支川です。
本川まではかなり距離がありますが地形図で見ると
ダムが治水に有利であることがわかりやすいです。
アイコンが黄色になっているのが最上小国川流水型ダムです。
地形図で見ると最上小国川は山岳地帯の中の盆地を流れていることがわかります。
こういう地形は大雨が降ると狭窄部で水の流れが悪くなり上流で浸水被害が出やすいのです。
なので大雨の時に河川水位の急激な上昇を食い止め、少しずつ流す仕組みがあれば
被害を軽減できるので、普段は川と同じ流れを有しているけれど
洪水を貯めることができる流水型ダムが選ばれたのです。
建設中に訪問して、完成してからはまだ会いにいけていないので
工事現場で撮った完成予想図です。
中々かっこいいフォルムですね。
今回の降雨における最上小国川流水型ダムのハイドログラフがこちらになります。
あれぇ…。
このハイドログラフ…
なんか 見たことがある。
昔 見たことがある。
えーと…あれは…
石川県にある流水型ダム、辰巳ダム
2021年8月9~11日のハイドログラフです。
吃驚するくらいそっくりさん。
辰巳ダムは最上小国川と同じく一番低いところに
ゲートレスの放流孔がある流水型ダムです。
こう書くと、どうも早とちりする人が流水型ダムは同じハイドロになるんだと
思ってしまうようなのでそうじゃないという事も説明しなくては。
これは同じ辰巳ダムのハイドログラフですが全然違う形になっています。
河川標高に放流孔がある流水型ダムのハイドログラフは
貯水位と放流量の曲線が同じ形になるのです。
こちらでも貯水位のカーブを平坦に近づけていくと放流量のカーブと同じ形になるのがわかると思います。
つまり今回の最上小国川流水型ダムと辰巳ダムのハイドロがそっくりさんなのは
流水型ダムで、とんでもない降雨がいきなりやってきた、という条件が同じだったので
偶然、そっくりになったというだけです。
最上小国川流水型ダムには河川標高の常用洪水吐とゲートレスクレストの非常用洪水吐だけです。
こちらは辰巳ダムです。
貯水位がどんどん上がっていった時
辰巳ダムには中位標高ゲートレスオリフィスがあるので
最上小国川流水型ダムとは違った形のハイドロになってくるはずです
今回の降雨で最上小国川流水型ダムはEL300.07mまで貯水位が上がったと
川の防災情報のリアルタイムデータで確認しています。
丁度、水位標でEL300のマーカーが写った写真がありました。
こんなにたくさん貯めて頑張ったんですね。
遠いのでなかなか会いに行けませんが
会いに行けたら、お疲れさまでしたと堤体をなでなでしたいです。