新丸山ダムのラジアルゲート
2025/6/11 更新
突然ですが大阪は堺市のIHIインフラシステム様の工場に来ております。
お世話になっている九州電力の方が
工場見学で淀川水系にお越しになるという事で
そのメンバーに紛れ込ませて頂いたという超ラッキーなお話。
以前もこちらの工場見学をさせて頂いていますが
その時にはまだ建設中だったこちらの新社屋。
カッコいいな。
鉄物ってなんでこんなにカッコいいんだ。
玄関のモニターに映し出されていたのがこちら。
現在、工事が進められている新丸山ダムの常用洪水吐ゲート。
今回の見学で実物も見せて頂けるという事でわくわくが止まらない。
まず九州電力の皆様と一緒に説明を受けます。
新丸山ダムは国内各地で増えてきたダム再生、ダム再開発工事の中でも
鶴田ダムに匹敵する、非常に難しいプロセスで
ダムを運用しながら新堤体を旧堤体の足元に乗せる形で建設していくという
一度聞いただけではなかなか理解できないような現場です。
大河川木曽川の中流という事で工事中に洪水が来ても
対処しながら工事が進められるようにいくつかの段階を踏んで
新堤体を作り上げていきます。
詳しくは 「新丸山ダムの建設に向けて」をご覧ください。
まずは洪水を迂回させるために転流工をつくり
続いて、左岸側に新設の堤体を造りここに今回見学するゲートが四門
常用洪水吐として据え付けられます。
転流工と新設常用洪水吐が運用できるようになったら
堤体の右岸側に着手し、それぞれをくっつけて完成させます。
設置される常用洪水吐ですが高圧ラジアルゲートです。
しかも オールステンレス !!
“オールステンレスのラジアルゲート”
“オールステンレスのラジアルゲート”
オールステンレスのローラーゲートは
フィーレンディール桁が印象的な上平井水門や
水資源機構・奈良俣ダムの更新された洪水吐ゲートなど
事例は知っていますが、ついにラジアルゲートも登場したんですね。
実物を見せて頂きました。
でっか!!
有効高 6.300m
純径間 5.000m
重量 約65.0t
この子が新丸1号。
新丸山ダムの左岸堤体で、設計水深 49.283mです。
かなり深い場所で働くゲートになります。
摺動式 不連続 4方ゴム水密 だそうです。
コンジットゲートでよく採用されている摺動式。
要は密着させたまますりすり動くゲートです。
ぐっと押しつけたままじりじりすりすり動くこの摺動式が
新丸山ダムの左岸堤体にはふさわしいという事です。
建設省河川局開発課監修 高圧ラジアルゲート設計要領(案)同解説
に載っている分類です。
摺動式か圧着式で大きく分かれます。
新丸左岸堤体常用洪水吐は黄色で印をつけたものになります。
圧着式と摺動式のメリットとデメリット。
詳しく知りたい方はこの資料をわくわく読んでいただけたらと思います。
「摺動式は操作性が良い」
選ばれた理由はこれに尽きると思います。
そして扉体の材質は SUS821L1 です。
高強度で高耐食の二相式ステンレス鋼はすごいのですが
溶接が難しいという課題を抱えていました。
その難溶接性が改善された新材料が SUS821L1 なのです。
どんどん進化する鉄♪
九州電力の皆様と一緒に記念撮影。
どれだけゲートがでっかいか分かって頂けると思います。
でも山須原ダムのゲートはこの三倍なんですよね~。
よくこんな大きなものが動くなと思う位の巨大さ。
ということで、突然降ってきた幸運で新丸山ダムの
オールステンレス製ラジアルゲートのおそばに行くことができました。
ゲート見学の許可をくださった中部地方整備局様
IHIインフラ建設様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。