笹生川ダムのトンネル式洪水吐 その1
2026/3/1 更新

奥越で無敗のレコード更新中、福井県で九頭竜ダムに次ぐ堤高を誇る
真名川ダムにやってきました。
といっても本日の訪問の目的地はさらに上流の笹生川ダムなのですが。
でもここまで来てこのアーチダムを愛でずに通過は無理。

洪水期ではなかったので水位高め♪
非洪水期の水位が高い真名川ダムはホントに見られる期間が少ないので嬉しいです。
非洪水期はめっちゃ水位下げるし
その後はしっかり水位上がるのかというとそれ以上にガンガン水、使われるし
そもそもお水が豊富な時期、なかなか、サマータイヤしかはかせていない
対雪能力の低い車に乗っているものにはたどり着けないし。
など種々の理由でお水が多い真名川ダムの姿は自分にとって貴重。

最近新しくできた道の駅・越前おおの荒鷲の郷では
九頭竜ダムや真名川ダムのリアルタイムデータを見られる
コーナーが設けられました。

そこで見た真名川ダムのデータがこれでした。
この日の水位はEL363.01m。
平常時最高水位のEL365.0mより少し低いくらい。
中々の溜まりっぷり。
幸せ♪

お水たっぷりをうふうふしながら楽しんで
上流の笹生川ダムを目指して移動します。
◆
ダムの再開発工事でトンネル式洪水吐が注目されるようになった時に
笹生川はかなり昔に増設しているけどな〜
しかもちゃんとダム再開発だし〜
もっともっと笹生川ダム、有名になってほしいのにな〜
と、いう思いが頭をよぎったので改めて見ておこうとやってきたのです。
笹生川ダムにやってくる前にトンネル式洪水吐は
国内でいつ頃から造られているのかを調べました。

神戸市水道局・堤体三兄弟の次男、烏原立ヶ畑ダムが洪水時の排砂バイパストンネルとして
設けたものが最古の事例になると思いますので、1905年には事例があったということに。
つまり、日本の近代ダム史の最初から技術として確立されていたわけです。

アースダムでのトンネル式洪水吐は1928年竣工の
下関市水道局の内日第二ダムが最古と思われます。

一年遅れの1929年竣工の三重県津市水道局の片田ダムにも
短いトンネルが洪水吐越流部から水路の間に設けられています。

アーチ式ダムでのトンネル式洪水吐では奈川渡ダム(1969年竣工)が有名ですが
最初の事例は大美谷ダムになります。

下流に木が茂っているので水音を頼りに覗き込むと
こんな風に水が出ているのが確認できます。
河川維持流量をトンネルから吐いていると予想されます。

トンネル式洪水吐はトンネルの長さが短かく貯水池の縁など
平時は水没していない場所に設けられているなら
洪水で土砂や流木で一時的に閉塞しかかっても復旧は容易です。
でも可能な限り、濁水によってトンネル内に持ち込まれる土砂の堆積は
抑制したいし、流木で閉塞しないようにするのは当然です。
また、トンネル内にゲートを内蔵してしまうと、そのメンテナンス、部品の交換が
可能なように作らねばなりませんので地上にゲート室を据え付ける場合に比べて
色々大変になってしまいます。
一部の変わった例を除いてゲートはトンネル末端に装備されるものであり
貯水池側にメンテナンス用に制水ゲートを設ける、という配置にするのが一般的です。
竣工時からトンネル式洪水吐を装備していた御母衣ダムや三国川ダムは
仮排水トンネルを無駄なく利用し、常用洪水吐として活用する大変合理的な設計です。
そして非常用洪水吐はきちんと別に持っているという思想が玉また素晴らしい。
べた惚れポイント♪

大阪府の安威川ダムも常用洪水吐はトンネル+シュート式です。
埼玉県の有馬ダムは常用、非常用兼用でトンネル式洪水吐を備えていますので
凄い勇気があるな〜、と、ぜひ会いに行期待と思っているのですが未訪です。
すごい人出の人気ダムとも聞いているのでシーズンを考えなくては。
三国川ダムもまだ会いに行けていないし…。

なので、ダム再開発で
・トンネル式洪水吐増設しました
・下流の環境変化を最小にするためにゲート室をトンネル内に作りました
・減勢工もトンネル内に造っちゃいました
という天ヶ瀬ダム再開発は今までの常識を全部ひっくり返すほどの
ものすごい計画なのです。
無事に工事が終わって運用に移行できそうで何よりです。
早く現場見学会開かれないかなぁ。
◆

新緑が美しい中、雲川ダム方面との分岐を間違わずに進んで
笹生川ダムの放流サイレン吹鳴看板が出てきたあたりで
山を見ると、木々の向こうにちらりと目的のものが見えます。

ちらり。

笹生川ダムのトンネル式洪水吐の吐口です。
年々、木が育って見えにくくなっております。
15年くらい前に九頭竜川ダム統合管理事務所と福井県の方にご案内をいただいて
洪水吐直下まで連れて行っていただいた時の写真です。
川にはまりつつ藪を漕いでなんとかこの位置までたどり着きました。

一見、轍があるので車で行けると思ってしまいますが
スタックしない保証がないのでやめておいた方がいいと思います。
マダニや蛇や毒虫が怖いから徒歩は嫌という方は
そもそも行かないほうが良いと思いますので注意喚起。