青蓮寺ダム50歳

2020/7/11 更新

淀川水系名張川にある水資源機構の青蓮寺ダムが
2020年7月1日に管理開始50年を迎えました。

つまり50歳。


青蓮寺ダムのtwitterではマスコットキャラクターのレンちゃんが
色々な青蓮寺ダムのエピソードを紹介しながらカウントダウン。


あと1日になった6月30日のツイートです。
この時、青蓮寺ダムを含む木津川戦隊ゴレンダムは
防災体制が撮られていました。
梅雨前線がやってきていたのです。


6月30日10:30の衛星。

6月24日頃からずっと居座っている梅雨前線で
お天気は全国的によろしくない。


今年の梅雨前線はなかなかしぶとく長居していました。

大陸の方では中国で大規模な洪水が発生していたし
ロシアではベルホヤンスクで気温が38℃に達したとか大騒ぎの6月でした。

なので青蓮寺ダムの誕生日に洪水調節はやむなしかとも思っていました。

◆ ◆


7月1日の朝、50歳おめでとうを伝える為にやってきました青蓮寺ダム。

会いに来た時間には水位維持操作を実施中でした。
防災操作はしていませんでした。

前線が停滞しているので今後の流況予測を行って
洪水の発生に備えている状態で
利水放流バルブから放流をしていました。


前線到来前にしっかり洪水期に向けてドローダウンしていたので余裕です。
降り続く雨による流入もきっちりコントロール。


“密”を回避していれば立ち入って良いという事でしたので
一人ですから安心して展望台へ。
左岸の監視カメラの足元に行くと左岸側からの見下ろしが
一番綺麗に撮れます。


「青蓮寺、50歳おめでとう♪」

展望台からお祝いメッセージ。


管理所に移動してきました。
マスク着用、手指消毒。

管理所玄関で見られるモニターです。
放流しているときはここに数字が出るので分かり易いのです。


入口で可愛くお出迎えしてくれるのはレンちゃんです。


レンちゃんは青蓮寺ダムの妖精ですからね♪

◆ ◆


下流面真向きが撮れるポイントに移動してきました。
ここからは利水放流バルブからの水流がよく見えます。

淀川水系のダムで一番洪水調節回数が多いのが青蓮寺ダムです。

竣工からずっと、地元から大変な期待を寄せられて
物凄く頑張らなくてはならなかったという事情もありました。

1999年(平成11年)に比奈知ダムが木津川戦隊ゴレンダムに加わるまで
宇陀川の室生ダム、名張川上流の青蓮寺ダム
名張川と木津川の合流点の直上流の高山ダムの3基で
洪水調節を頑張っていました。


これは近畿地方整備局 河川部様が作成してくださった
『語り継ぐ河川技術 − 技 術 体 験 集 −』平成 22年12月
に寄せられた貴重な報告です。


青蓮寺ダムは地元の強い要請に応え、竣工直後から
本則操作にはない操作、オーバーカットを実施していたのです。

その効果は絶大で“上名張カット”と呼ばれました。

比奈知ダムができるまでの29年間に46回の洪水調節。

青蓮寺ダムの洪水量(洪水調節操作を行う基準となる流入量)は100m3/sでした。
洪水調節回数が非常に多いのはこういう理由もありました。

比奈知ダムが竣工してから青蓮寺ダムの洪水量は450m3/sになりました。
これに伴って一気に洪水調節回数が減りました。

比奈知ダム竣工後の青蓮寺ダム洪水調節回数は10回です。

1999年(平成11年)4月から比奈知ダムと青蓮寺の二基が揃ったことで
操作規則が改定され上名張カットは更に強力になっています。

◆ ◆

名張川の守護神・青蓮寺ダム。

56回の洪水の中で最大流入量を記録した雨は
平成6年台風26号(T9426)です。


平成6年というと日本全国で大渇水が発生した年で有名ですが
この台風26号は各地に大きな被害を出しました。
気象庁の災害をもたらした気象事例でも紹介されています。
このT9426のハイドログラフを見たいのですが
手元の資料ありません。
残念。
貯水位はサーチャージ水位まで2mというところまで迫ったというお話を聞きました。


竣功翌年にバケットカットを決めたT7129のハイドログラフを
以前書いた事があったので紹介します。

流入量を示す赤線の立ち上がりの恐ろしい早さにぞっとします。
そしてそれを追いかけつつ、急激放流にならないように
放流量を示す青線が立ちあがって行きますが
流入がピークを打った時にぐっと絞りこみに入っています。
なので貯水位を示す緑線は流入量がピークを打ったのに
ぐんぐん上昇しています。

この時のバケットカットでは、4m3/sの発電放流以外全部止めていたのです。
T9426でも同じように発電分の4m3/sだけで放流を絞り込んだそうです。

青蓮寺ならできると判断されての操作ではあると思いますが
怖い怖い。ものすごく怖い。

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2020年7月1日の青蓮寺ダムのtwitterではとても素敵な動画が紹介されました。

見ていて嬉しくなる素敵なショートムービーです。

動画を見てほっこりした気持ちになった時に
私の脳裏をよぎったのはT8210と戦った青蓮寺のハイドログラフ
T0918で3ダム連携操作をした時に室生と比奈知が支えてくれたために放流出来たハイドログラフ
T1721で貯水容量の88.2%という恐ろしい数字が出たときのハイドログラフ
でした。

“上名張カット”

国内最高レベルのダム連携操作
ダムの高度管理

それを竣工直後からずっと
50年間実績を積み重ねてきたのが青蓮寺ダムです。

「淀川の洪水は木津川の洪水に左右される」といわれています。
それは桂川や宇治川(琵琶湖を除く)と比べて流域が大きい事と
集水域の端が日本一の多雨地帯、大台ケ原の端にかかっていて
降雨の影響を受けるのが木津川筋の名張川であるという事が関係しています。

洪水調節の数々の殊勲があまりにも輝かしく見事であるために
目立たないかもしれませんが安定した水供給のためにダムは造られました。

利水と治水の両立

人の暮らしを支えるダムとして

50歳を迎えた青蓮寺ダムはとてもとても頼もしい姿を
水煙の向こうに見せてくれました。