安威川ダム展望台より その1
2020/5/21 更新
大阪府茨木市の安威川ダム建設現場です。
ダムの本体工事に着手したのが2014年(平成26年)です。
2022年(令和4年)の完成を目指して絶賛工事中。
これは2014年に建設事務所で展示したあった安威川ダムの図面です。
堤高76.5m、堤頂長337.5mのロックフィルダムです。
こちらも安威川ダム建設事務所で展示されていた完成予想図です。
上流側から見たところ。
下流側はこんなイメージです。
洪水吐水路は左岸側に設けられています。
最新版では少し変わっていますが大きくは変わっていません。
安威川ダムが何故造られることになったのかの説明パネルです。
1967年(昭和42年)に起きた北摂豪雨を契機に計画された
洪水調節を主目的にするダムです。
おおよそ100年に1回の確率で訪れる豪雨に対応できるように
計画されています。
ダムだけではなく河川改修とペアで工事は進められます。
その北摂豪雨から半世紀以上経ちました。
何故、建設がここまで時間を要したのかというと
他のダムでも同じですが計画から地元の同意までに
相応の時間がかかりますし、平成の初めから起きた
ダム反対論の台頭が関係していると思います。
ダム反対派の声だけを集めた意味不明な難癖も
TV報道で何度も目にしました。
そういう難癖のネタの元になったとしか思えない
鳥類研究の専門家とか水棲生物の専門家とかの
こうしたらいいんじゃないかなという工夫色々。
その報道に対して何の反論もなく現場にこうしろああしろと
言いっぱなしで、批判された時の応答もダム建設現場に
丸投げしてしまうのは提案した専門家としてどうなんだと思う事しきりでした。
今ほどネット環境がいきわたっていなかった
SNSなど勿論世に現れていなかった20年近く前の話ですので。
今だったら捏造・偏向報道にもちゃんと反論できるのですが。
そしてダム検証が進められ
川を改修する、放水路を造る、遊水池を作る等の他の案と比べて
結局、ダム+河川改修が一番良いということになったのです。
何といってすぐ市街地が迫っていますし
橋も道路も鉄道も掛け替えとなるととてつもないコストがかかります。
河川改修で神崎川との合流点までを拡幅するとなると
20〜45mもの幅に広げなくては安全に洪水を流すことができないために
移転戸数が1230戸、架けかえる橋は50にもなります。
河川改修+放水路の案では移転戸数650戸に加えて
排水機場と放水路工事で架けかえる橋は30に及び
これまた大変な事業費になることが分かりました。
そして河川改修+遊水地案では150haの遊水地を造るのですが
移転戸数が1083戸、架けかえる橋は30
そして事業費がダントツのダム建設の2.4倍。
安威川ダム建設の場合は
移転戸数65戸、架けかえる橋は1つです。
水没に伴う移転に同意してくださった生保地区の皆様に感謝しかありません。
これは建設事務所内にあった大型模型です。
とにかく巨大で分かりやすい模型です。
この辺りがダムサイトです。
上流右岸にはコア材の採集地があります。
堤体が完成するとこんなダムになります。
洪水吐水路の中ほどにあいているのは常用洪水吐の吐口です。
完成予想図で示すとこんな感じ。
赤は非常用洪水吐です。
青色が常用洪水吐です。トンネルなので完成すると呑口と吐口しか見えなくなります。
黄色は選択取水設備です。
非常用洪水吐と常用洪水吐はこんな位置で設けられます。
ロックフィルダムでは洪水吐水路一つで越流部も一か所で
常用と非常用の越流高を異なる位置に設ける一体型が多いです。
しかし治水にかなり重きを置いている安威川ダムの場合でこれをすると
非常用洪水吐の越流高と常用洪水吐の差が25.0mにもなるので
地山の掘削量が半端なく増えて大変な工事になることが分かっていたので
ルートを別々にして元の地形を大切に環境改変の少ないデザインが採用されました。
常用洪水吐はトンネルだけですし
非常用洪水吐は多くのフィルダムであるように地山に乗っけるデザインです。
標準断面図です。
ゾーン型ロックフィルダムの断面図でよく出てくる用語の説明。
それぞれの説明文の末についている「材料は〜」の一節は
安威川ダムの説明ですが。
コア材、フィルター材、トランジション、ロック材。