坂本ダムの越流 その1

2020/1/5 更新


上北山村の林道を走行中です。
R169とR425を繋いでいる林道で、それぞれの入口から
向っている国道まで何kmあるか
標識が立っています。

他の都道府県は解りませんが
奈良県南部は台風などでホントにすぐ道路がやられて通行止めになります。
長年それで対策を考えてきましたがある時、考え方を転換します。

もうわかった。
崩れる。
何をやっても崩れるなら
崩れてもすぐに迂回路を確保できるようにする。
崩土や路肩が落ちたらすぐに場所を通報してもらえるように工夫する。

ということでおにぎり三角の国道標識と別に
道路横のガードレールに小さめの国道マークと
現在地を示す通しナンバーが書き込まれていて
道路に異常があったらすぐその場所を特定し
迂回路を選定し、すぐ運用できるようにするシステムです。

数年前に大迫ダムの左岸の法面が落ち
地域の主要道のR169が寸断された時も
即座に迂回路が設定されました。
大変な道だったし交互通行だったし先導車を走らせての運用だったけど
ライフラインは途絶させないという気合がありました。

紀伊半島大水害の後、R169とR168はトンネルが整備され
バイパスも作られ更に三重県と和歌山県南部には
高速道路(高規格道路)も伸びました。

それでも落ちる道は落ちるし
落ちた後、別のルートがしっかりしていれば
その先に住民がいない地区を接続している酷道となれば
復旧させる優先順位も低くなるのは致し方なし。
予算は有限ですから。


この林道はとにかく物凄く標高が上がって尾根を越えてどーっと下ります。
ダートはなくて舗装されていますが細かい割れて尖った石はバラついているし
落石は多いし落ち葉が相当あります。

ライダー的には小石も岩も嫌だけど道路一面の落ち葉がもう嫌で嫌で。


こんなにすごい高低差なのに何故、奈良県はサイクリングコースとして選んだのか。
「ならクル 上北山ルート」の文字が怖い。


ここ、周辺の人家から10km近く離れているし
携帯電話圏外だし
一日何往復かまではわからないけど
道路パトロール車が端から端まで見て回ってくれるとはいえ
もしトラブルがあった時見つけてもらえなかったら命取り。

ガードレールないところもあるし。
林道慣れしていない人が一人で行くのはちょっとお勧めできません。


そんな林道をゆっくり安全運転で一時間以上車を走らせて到着しました坂本ダム。

池原ダムから坂本ダムまでのR425が落ちてからかなり日が経ちますが
一向に復旧しませんので今のところこの林道からのアクセス方法以外
車で到達できるルートがありません。

でんぱつの方も大変です。


11月に池原ダムに取材でお伺いしたときに
坂本ダムが今、発電所点検の関係で越流しているんですよと
カメラ映像を見せて頂き、それが豪快な越流ではなく
とても瀟洒な織物のようなさらさら越流であったので
見ておきたいなとやってきました。


写真奥の方が林道になります。


右岸の慰霊碑です。
綺麗にお掃除されています。


貯水池がちらりと見えました。
池原ダムと同じく天端高欄は貯水池側が鉄柵
下流側がパラペットの組み合わせです。


よく見えるポイントに移動です。

ホントにさらさら越流綺麗です。

坂本ダムはでんぱつ様が初めて100m超級のアーチダムとして造ったダムです。
ドームアーチ。


クレスト中央から水が落ちているのですが
端に行くほど水量が少なくなっています。


理由はたぶんこの流れついた流木でしょう。
でもそのせいでホントに少しだけ流れ落ちる水が綺麗なのです。


空中に飛び出した瞬間にぱーっと広がります。


速度を増していくにつれて霧のように細かくなってていき…


着水するときにはもう霧のカーテンです。

なんて優美なんだ♪

黒部ダムもクレストからさらさら越流したら
こんな風に霧のカーテンになって直下に届くんだろうなー
高さは倍近くあるしもっと綺麗だったりしてー♪

ゲート放流も自然越流も水量でホントに顔が変わるので
はまると何度も足を運んでしまうダム鑑賞道。