高岡輪中堤 その1

2021/7/21 更新

2011年の9月
台風12号による凄まじい豪雨で引き起こされた
紀伊半島大水害

10年が経ち、新設道路や崩壊地の復旧等、工事はどんどん進んでいます。


これは紀伊半島大水害発生した翌年の初めに開催された
公益社団法人土木学会と公益社団法人土木学会関西支部による
「平成23年台風第12号による被害調査報告会」のスライドです。

近畿地方整備局の方からの発表で衝撃的な画像が登場しました。


熊野川の河口付近で合流する支川、相野谷川の浸水被害についての報告です。


相野谷川流域の広範囲が水没しました。
洪水対策として輪中堤が設けられていたのですが
川の水はその高さを超えました。


輪中堤で囲まれた土地を通る道路部分には陸閘が設置されており
洪水前に締め切られていましたが陸閘の高さを水が超えた時の様子です。


堤内地には排水ポンプも在ったということですが
これらの機器も水没、これだけの水が押し寄せてきたら
どうすることもできません。


相野谷川に面した堤を超えた水が滝のように落ちてきています。


記録写真についてはこちらでも詳しく見ることができます。
平成23年台風12号豪雨における初動対応と課題

輪中堤を乗り越える水
本川との合流部で浸水した排水機場
そして引き水で破堤した輪中堤です。

輪中堤も復旧していると聞き、現地の様子を見に行くことにしました。



新しいトンネルや道路で新宮がとても近くなりました。
R168をスムーズに南下して熊野川河口付近から相野谷川の合流点に到着です。

合流点には立派な水門がありました。


この地区の名前がついています。
鮒田水門です。


目指す輪中堤に行く前に水門見学をと右岸側に入りました。


右岸に渡ってすぐの所にある建物。


鮒田水門の管理所です。


管理所の対岸には立派な排水機場があるのです。


洪水時に本川の熊野川(新宮川)水位が上昇したら
水門を閉めて支川への逆流を防がなくてはなりません。


水門を閉めると支川の水があふれ出しますので
ポンプで強制的に排出します。
これが排水機場の仕事です。


排水機場の対岸に神社がありました。
牛鼻神社と碑が立っていました。


石段を少し上がって境内に入り
振り返ると鳥居の向こうに鮒田水門と排水機場が見えます。


境内の端に何やら新しい石碑がありました。


近づいてみると
それは紀伊半島大水害の碑でした。


ここまで水が来たと最高水位を示してくれています。