安治川大水門 見学 その2


着水した後もまだまだ動きます。


この高さまで来たら閉鎖完了です。


無事に閉まりましたので
次は横から見なくては。


大急ぎで橋から下りて左岸側の道へ移動します。


平日の昼間は交通量もそこそこありますし
大型の車両も通りますので車に注意が必要です。


すぐ傍までやってきました。
扉体が全閉で見えない時に来たのは初めてです。


赤の『安治川大水門』の文字。
青の尻無川水門、緑の木津川水門、みんな文字に色をつけてもらってます。
こういうの好き。


門扉の色も同じ色で塗装してあるんです。
こういうこだわりがたまらん好き♪


水門のイラスト説明看板。

「この施設は高潮や津波から地域を守る働きをします」
はい〜♪
T1821(平成30年台風21号)で大阪を守り抜いた英雄達ですから〜♪

とりあえずインターホンを押します。


運転日に合わせて見学申し込みをしていたのです。
個人の見学にも対応してくださっているという事で
大変大変ありがたい。

先ほど橋の上から見ていて
なんでこんなところから水が出ているのかなと思っていたのは
扉体の洗浄配管からの水であることが分かりました。
橋からは裏側だから見えなかったのでした。


施設の説明イラストの横には活躍の様子をまとめてくださったパネルです。


T1821でとんでもない高潮がやってきた時の
木津川水門の潮位グラフです。

信じられない高さまで大阪湾の潮位が上昇したのです。
既往最大でした。
あの伝説の室戸台風襲来時の推定潮位を超えたのです。


大阪湾に既往最大の高潮をもたらしたT1821。
2018年9月2日の進路予想です。

9月4日の正午の天気図です。
大阪にとって一番嫌なコース、淡路島と大阪の間に乗り込んできました。


恐ろしい高さまで上がっている大阪湾の水を食い止めている三大水門の写真です。

台風が迫ってきた9月4日の09:00 水門を閉めますと報道発表がありました。

そして11:00に三基の水門の閉鎖操作を開始し
同時刻に毛馬排水機場が運転を開始します。

上流から雨水で増加した川の水がどんどん押し寄せますから
水門を閉める時に排水機場がないと内水氾濫してしまいます。

12:00には安治川、尻無川、木津川の三大水門の閉鎖が完了しました。
今からくる台風を待ち構えます。

同時に大阪府が管理する他の水門や陸閘も閉鎖作業が進んでいました。


13:00に国道2号の防潮鉄扉が閉鎖完了


国道43号伝法大橋の陸閘が閉鎖完了


阪神なんば線 防潮扉の閉鎖完了
そして、台風が接近してきました。
14:18 大阪湾で過去最高潮位を更新

最高潮位観測時刻直後のXrainです。
台風本体が移動し、潮位が下がり始めましたが
17:10に大阪湾に満潮がやってきました。
しかし高潮時の潮位の約半分の高さで乗りきることができました。

大阪湾で最も潮位が高かった14:18頃の衛星画像です。

14:20のCバンドレーダーになります。

近畿地方拡大。
降雨も凄いのですがこの時、凄まじかったのは風でした。
淡路島と大阪の間の狭い場所に暴風が吹きよせ
台風の東側、大阪から神戸にかけてとんでもない高さに
潮位が上がったのです。
風が強く吹くと水が押しやられるというのは
小さな水槽でもないのに湖沼や海でそんなことが起きるのかと
にわかに信じがたいかもしれませんが
実際にこの台風で起きた希少な気象事例が琵琶湖で報告されています。
   → 〜平成30年台風21号における瀬田川洗堰の自然閉門〜
この時に琵琶湖の南湖にある三保ヶ崎水位観測所では
9月4日の13:50時点で-17cmだったものが
16:20時点で-122cmと100cm以上水位低下しました。
風が琵琶湖の水を南から北に吹き寄せたからです。
その結果、水が北湖の方に吹き寄せられたために
水位が下がった南湖の端にある瀬田川洗堰から
水が流れ出なくなってしまった!!という現象が発生したのです。
なので自然閉門状態。
海かと思わせる大きさの琵琶湖でもこの変動ですから
風の力ってほんとにすごいんだなと理解できます。
すーーっと進んでいくと思われた台風が速度を落としただけで
高潮の発生と状況は大きく変化します。
潮位は満潮か干潮かにも大きく左右されますが
高潮は台風の巨大さから考えると非常に小さい範囲で
ポイントで生じるのです。
吹き寄せ効果と低気圧による海面の吸い上げ効果で起きるものですから
台風の大きさ、進路、速度、地形で変化が激しいのです。
17:36には潮位が下がったことにより安治川と木津川の水門開放の指令がでます。

18:15に安治川と木津川水門が開放完了しました。

川の水位と大阪湾の水位を見て
19:30 毛馬排水機場も運転を終了します。

そして最後に尻無川の水門が開放されました。
21:07の事です。


説明を受けつつ、管理所建屋の屋上に連れてきていただきました。
大阪府マーク。太閤秀吉の千成瓢箪デザイン。
安治川水門の文字にお近づきっ♪


全閉しているバイザーゲートをこの角度で見られるの幸せ♪
素敵だなぁ。
素敵だなぁ。

高潮の怖さは津波に匹敵する破壊力をもつ事もある、という点だけではなく、
極めて予測が難しい事の方にあります。

気象庁のHPにも
「予報が難しい現象について(台風による暴風と大雨、高潮)」
というページが設けられているほどなので。
興味のある方にはぜひ見てほしいです。