IHI 防災・水門技術研修所 見学

2023/12/11 更新


朝仕事が終わって必要な荷物を鞄に詰めてふらふらしながら
京都駅までたどり着き、いつものE席に座ってぐっすり。

でも不思議なんですが、富士山の横に来た時にいつも目が覚めるので
これは車内アナウンスが流れているのかなと思ったり。
前日にすごい寒さだったので冠雪しているかと思いましたがちびっとだけでした。


品川駅で降りて乗り換えてもう一回乗り換えて
篠崎駅というところを目指しています。


無事に乗り換えに失敗することなく篠崎駅で下車できました。
ここから閑静な住宅街をてくてく歩きます。

小学生に追い抜かれたりしながら
道を間違っていないかゆっくり足を進めていくと…


住宅街に忽然と現れました。
IHI様のロゴマーク。


シャッターにもばばーん!!とロゴマーク。


ここは何かといいますと、IHIインフラ建設様の
“防災・水門技術研修所”なのです。

今度、帝都に行く機会があったら見学させていただこうと
わくわく楽しみにしていたのでした。


2022年の帝都のwith Dam Nightゲート編と
堺の工場見学でお世話になった方に
山須原ダムのゲート工事現場の見学でお世話になった方
皆様、こんな怪しい土木愛好家にこんなに良くしてくださるなんて…。

しっかり勉強させていただかねば。


まず、この防災・水門研修所が何故、作られたかという
コンセプトから説明をいただきます。

戦後、特に高度経済成長期以降、全国的に鋼製ゲートの水門が
普及し始めました。

現在、その半数近くが40年以上経過しています。
10年後には全体の7割、20年後には9割が設置後40年を迎えます。

管理は国であったり都道府県であったり色々ですが
老朽化した設備には安全のために更新が必要ですし
メンテナンスも欠かせません。

そして、古くなった設備でありがちなのがトラブルです。

お天気の良い、水位の安定した穏やかな日に起きてくれたらいいですが
実際は洪水、出水、大変な時にトラブルは起きるものです。

その時に対処の仕方を知らなければ土地の浸水だけではなく
操作に当たっている人をはじめ人命にかかわるのが水門のトラブルです。


座学と体験とともに大事なのはこれから必須になる遠隔操作も学べることです。
遠隔操作はこれから絶対に必要です。

日本の人口はどんどん減っているし高齢化は止まらないし
人の手が重要なインフラの中で取り合いになってきます。

いくつもの現場を会社から遠隔操作で対応できるように
開発を急いでいる建機メーカーの協力と同じく
水門もどんどん遠隔操作でやっていかなくてはなりません。

実際、電力会社様はほとんどが遠隔で対応できるようになっています。

現場に人がいなくても操作できるようにならないと災害時に防災インフラに
かかわる人の被災は減りません。

この施設では座学と実機での体験学習ができるのです。

実際にトラブル状態を作って対処の仕方を学べるのです。

すごーい!!

そしてそして、こちらの研修所はIHIの社内だけでなく
水門管理が必要な企業、組織の人材育成の場として
同業他社の方、協力業者の方も受講できるようになっているのです。

ほんとにすごい!!

実際に、ダムの管理をされている電力会社様
水門設計に携わる建設コンサル様
多目的ダムの管理されているところからも研修を受けに来ておられます。

やっぱり実機研修に勝るものなし。


一応、カメラ禁止なのでぼかしました。
こういうのすぐ写真に撮って盗んでいく諸外国の人が多いのでやむなし。


パーツのアップで問題ないところは撮らせてもらいました。
これはこの日、気になって目が離せないローラーゲートくん♪

実際にどんなトラブルがあるかというのを色々やらかしてくれました。

ゲートのトラブルでよく耳にするのが「過負荷」とワイヤーの「ゆるみ」です。


トラブルが起きるとアラーム吹鳴とかなくて、ぴしっと止まるんです。
このゲートロボのおかげ

で、何が起きたのかチェック。
それを修復するにはどうするのか
異常を教えてくれる計器を見て現場を見て対処していくのです。


ローラーゲートの事故事例ですが
これは洪水の時に流れて来たものを噛みこんで過負荷の状態になり
そのまま巻き上げてしまったために起きたといわれている事例です。

過負荷は扉体の上端に異物が入り込むことで起きますし
越流面に流木が引っかかったりするとゲートイン操作の時にゆるみが発生します。

いずれも傾いたままで巻き上げるとこういうことが起きます。
洪水の最中にこれが起きたらもう大変。

でも実際、やっぱり、洪水の時に発生しているんです。


仕組みが全く分からなかったけど見ていて楽しかったのが
こちらのファンブレーキです。
ちゃんとブレーキかかるのが楽しかった。
精緻な仕組みはさっぱり理解できないけど。

各パーツにはそれぞれの説明が見られるアドレスのQRコードがつけられていて
雨の中、紙の取扱説明書を持ち歩かなくても電波さえ届いていれば
現場でスマホやタブレットで確認することが可能になっています。
(写真ではぼかしています)

豪雨にも砂ぼこりにも負けないタフブックみたいな端末があれば無敵。
電波さえあればですが…。


こちらは何十年も実際に使われてきたパーツを見ることができます。

どんな減り方をするのか
鋼製パーツがどんな風に傷んでいくのか
どこを点検しなくてはならないかをこれで学ぶことができます。


こちらはゲートの上に設置してXYZ座標で動かせる監視装置なんですが
先端にあるのは360°カメラ、リコーのTHETAです。
THETA素晴らしい。

ということで、駆け足でIHI様の防災・水門技術研修所を見学させていただきました。
ほんとはもっともっとたくさんいろんな機械があるんですが内緒。

現地で色々教えて頂いて思ったのは
この研修所できちんと学びましたという修了書があれば
海沿い、川沿いで、災害発生時に頑張らなくてはならない
地元の防災士の方々にとってとても心強いのではないかということです。

現場を見てやらなきゃいけないことはわかっていても
どう対処していいか具体的な方法がわからない時だってありうるので。

水門の原理原則
水門はどういうトラブルがどういう状況で発生するか
起きたトラブルの確認とチェック
必要な対処方法の実践

絶対現場で体験できないこと
ここなら実際にトラブルを発生させて対処法を頭と身体で覚えることができます。

安全な場所から遠隔で操作する際に見なくてはならないポイントだって学べます。

体験に勝るものなし。
百聞は一見に如かず。

こんな素晴らしい施設を作ってくださったIHI様に拍手です。

騒がしい素人に丁寧なご説明、本当にありがとうございました。

おまけ


IHI様の研修所から徒歩で移動できるということで
宿泊はこの瑞江駅前のホテルにしたのですが…


どうして構内にこんなにダムのポスターがあるのかなぁ♪
白丸調整池60周年記念イベントのお知らせ♪


都営交通とENEOSのポスターにもダムでした♪